ありきたりのものじゃ嫌だった。
それだけはずっと、僕の中にあって。
本当に君の望むものを、さりげなく聞きだせるほどのセンスもなく。
かといって、ウケを狙うようなものを考えるほど、僕たちはまだ深くなくて。

教科書に載っているような、模範的なものじゃなく。
君の心に残るようなものを贈りたい。

ジュエリーでも、花束でも、高級レストランのディナーでもなく。
それでも、これが君への、僕の精いっぱい。



あまり普段から、物欲がある人じゃないから。
何を贈れば喜んでもらえるのか、ずっと悩んできた。
まだ若いし、バイトはしてるけど、お金もたくさんあるわけじゃない。
そんなに高価なものは買えないし、君も喜ばないと思ってた。

だから、考えた。
私が君にできる「精いっぱい」をあげよう。

それは形に残るものじゃないけど。
きっと今の私にしか、できないことだから。



はじめて迎える、聖なる夜に。
二人の「精いっぱい」が、お互いの心に、消えることのない灯りをともす。