ピーーーーーーーー

「気合入れて行くぞっ!!」
「ぉう!!」

大好きだった君が…
あたしから離れて10年経った今日。

あたしは、
いつも以上に君の事を考えてるよ…。

そして。
そんな晴れた日の夜。

あたしの運命を変える…。
全国ジュニアサッカーリーグ。
決勝戦が始まった。

「羽賀パスッ!!」
「おぉっ。」

最初のキックが始まって約40分。
前半も残り5分。

あたし達ジュニアサッカークラブ
“NO.1キッカーズ”は今。
何気なく、
初日本一サッカークラブになろうとしている。

今、あたしが何やってるかって?



攻め。



相手ゴール前から…
自分陣地のゴールまで。

一直線に突っ走ってるだけ。

「おぃおら!!どけやソコ!!」

ドンドン迫ってくるディフェンスの奴等。
残念だけど…

一人…二人…三人…

どんどん抜いていく。


あとちょっと…


あとちょっとでシュートが打てる…。
皆が応援してる…。
監督が叫んでる…。

決めなきゃ…

その時だった。
何が起きたかなんて何もわかんなくて…

ただ分かったのは、
今まで走ってたあたしが地面によこたわってて。

真っ青なユニフォームが、
真っ赤に染まっていたこと。

監督の声が…。
観客の声が…。

仲間の声が。

響いてたあの日。