「あっ…! …えっ…と、あの…、あた…私、う…上村あずま…です。」 緊張を隠そうとすればするほど焦り、動揺で自分の名前さえまともに言えなかった。 しかし彼は、そんなあたしの姿を気にすることはなかった。 「上村さん…か、これからよろしくね。 じゃあ。」 そう言った彼は、なんのためらいもなく、すぐにくるりと背を向け教室を出た。 教室に残ったあたしだけが、たった今までそこにいた彼の面影に名残惜しさを感じていた。 終始冷静な彼に対し、あたしだけが緊張していた事がなんだか無性に切なかった。