「君の力が、必要なんだ。」

すっと背中を向けていた、2人組の背の高い方が、ベースのきいた優しい声で言った。

私は、反射的に、その声の主の顔を見上げた。

彼は、微かに微笑を浮かべて、私の顔を覗き込んでいた。

その瞬間、私の心臓は、チクンとした。

長い足、ちょっと栗色がかった髪、茶色い瞳、そして、綺麗な指。

彼は高校2年生?

彼からは、大人の匂いがした。

矢が刺さったとか、そういう感じじゃない。

細い針が刺さった・・・。
そういう感じ。

でも、そんな細い針が、
私の強い決心を、揺るがした。

「ちょっと、考えさせてくれませんか・・・?」

私の言葉に、

「もちろん。君だって、高校に入ったら、これがしたいってこと、あると思うから・・・。」

彼は、そう言った。