☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜

 もうひとつガサゴソと紙袋から取り出したのは、ずっしりと重たそうな弁当箱。


「え? 俺にもくれんのか?」


 いつも靭の頭上を過ぎて行くだけの弁当箱は、この前に引き続いてまた靭の胃袋に供されることとなった。


「中身は質より量だから期待しないでね」


 彼女はもはや齢に目もくれず、もじもじしながら俯いた。


「あれあれ? もしかして沢田さん、靭のこと……」


「嫌だあ、ジャッ君のついでに決まってるでしょ? じゃっ」


 沢田あかねは顔を茜色に染めて走り去った。


「これは尋常じゃないよ靭君」


 靭はポカンと口を開けたまま、あかねの後ろ姿を見送っていた。