彼の腑抜けた返事も待たずに、光は昇降口へ駆け込んだ。そこは廼斗と縁遠い、無邪気な女子高生たちの声で溢れている。
「おはよう光」
「はい、おっはよう」
「光おはよー」
「おはよん」
或る者には満面の笑みを向け、そして或る者にはハイタッチで返す。光の人気にはやはり、それなりの訳が有るのだ。
「でね、光知ってる? 野球部の試合。決まったみたいよ」
「そっか。丁度肩慣らしにはぴったりじゃない。相手はどこ?」
「うう〜ん、なんかどこかの男子校だって」
「またいやらしい目で見られちゃうわねっ。興奮して振り付け間違えたりしたら駄目よ? ミク」
「ああっ、そんな視線で見つめられたら感じちゃう……って何やらせんのよ! こないだのは興奮じゃなくて緊張ですっ!」
「おはよう光」
「はい、おっはよう」
「光おはよー」
「おはよん」
或る者には満面の笑みを向け、そして或る者にはハイタッチで返す。光の人気にはやはり、それなりの訳が有るのだ。
「でね、光知ってる? 野球部の試合。決まったみたいよ」
「そっか。丁度肩慣らしにはぴったりじゃない。相手はどこ?」
「うう〜ん、なんかどこかの男子校だって」
「またいやらしい目で見られちゃうわねっ。興奮して振り付け間違えたりしたら駄目よ? ミク」
「ああっ、そんな視線で見つめられたら感じちゃう……って何やらせんのよ! こないだのは興奮じゃなくて緊張ですっ!」



