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「どういうことだよ?」
「どういうって、今言った通りなんだけど」
「ふざけんなよ」
「ふざけてないよ、本気ー」
音楽スタジオで、俺の目の前でのほほんと笑顔を見せる橘を睨みつけていた。手に握ってるマイクを投げつけてやりたい衝動。
なかなか新しいメンバーが決まらないなか、今日、橘は俺と顔を合わせて開口一番、相変わらずの調子で俺に告げた。
「あ、ギター決めたから。華南っていう女の子ね」
「は?」
ふざけんなよ。よりによって女?!有り得ない!
俺はバンドをやる女が一番嫌いだ。生意気で我が儘で平等を求めるくせに、都合が悪い時だけはオンナだっていうのを主張して逃げようとする。バンドに女がいるだけでトラブルが増える。絶対。
それに、バンド、女ときたら思い出したくなくても頭に浮かんでくる。あの女がいるバンド。
「……っ、テメェ勝手に一人で決めんな」
「だって君が言ったんだよ、俺が決めればいいってさぁ」
「だけどっ、俺は女なんかぜってー嫌だ!」
「え~、大丈夫だよ、華南の腕は確かだから。ね?」
なにが、ね?だよ。ふざけるな。
とにかく俺は認めない。そう言い放って、俺は近くにあるスツールにドカッと腰を下ろした。



