得意げに笑うオーナーの顔を見ながら、俺はまたもや溜め息。
「まあとりあえずもう少し面倒みるつもりですけど、ね」
そう吐き出してから残りのビールを一気に喉へ流し込んだ。ついでに敦士への怒りだらけの感情も。
さあて、どうすっかなぁ。
俺はステージ上で演奏している名前も知らないアマチュアバンドをぼんやり見つめながら、頬杖をついて考えこんだ。
まあ、バンドやるような連中に心当たりは山ほどある。でもその中にあのボーカルに合う音があるかって言われたら微妙なとこで。
「んー、誰かいい奴いねぇかなー」
俺は、ジントニック、とカウンター内のスタッフに声を掛け、ぼんやりと知り合いのギタリストやベーシストの音を反芻する。
「あ」
ふと思い出した音があった。
いや、でもアレはなぁ。
その音を出す人物の顔を思い出して、俺は眉を寄せる。本当は思い出したくもない奴。
でもあいつの出す音なら敦士に合うかもしれない。
「あーでもなー、アイツはなぁ……無理だろうなぁ」
す、と差し出されたグラスに手を伸ばして、脳裏に浮かんだ可能性を飲み込むように、それを呷った。



