「アンタは本気で俺の声が欲しいの?」
探るような視線が、俺の目から心の奥にまで入り込んでくるみたいだ。俺はわざとらしく唇をつり上げる。
「欲しいよぉ~?もう毎日君の声ばっかり想像してる」
本気だよ、と言えば、こちらへ向けられていた瞳が、ふい、と足元へと伏せられた。揺れる前髪に隠れてその表情は見えないけれど、肩を落とし、いつもの迫力がかけらもないその姿に、捨てられた子犬を連想する。
「不安なのか?」
気付けばそう問い掛けてしまっていた。
きっとまた、オマエは要らないとか、用無しだとか、そう告げられることを怖がってるんだろうな。そう感じた。
俺はゆっくりと目の前のガキの顔を覗き込む。
「あーつし?」



