「でもさ、ユキ。敦士くんの声は、イイと思わない?」
性格は別として。
そう付け加えて問い掛けた俺は、ビールを一気に呷った。ユキは子供みたいに唇を尖らせながらしばし考える様子で黙り込む。
「ほら敦士、飲めよ」
不機嫌な表情のままの横顔に声をかければ、揺れる黒眼がこっちを睨む。かなり動揺しているのは見え見えだ。
ライヴハウスに来るだけでもこれじゃあアレ観たらヤバいかな?
「飲まねーなら俺にちょうだい」
「誰も飲みてぇなんて言ってねえし」
そんな強気な答えとともに缶を突き返された。
やっぱ生意気でクソムカつく。
でも缶を持つ手が震えていたことを俺は見逃さなかった。
「確かに歌は上手かったけど……、俺はコイツのやり方が気に食わないっすよ。だから、眞樹さんがコイツとバンドやるのは反対です」
黙り込んでいたユキがカウンターをバン、と叩いてキッパリと言った。
その目は真剣で、敦士の方を鋭く見据える。
「こんな卑怯で最低な奴、同じバンドやる人間として認めない」



