嫌がる敦士を無理矢理引きずって入ったハコの中は、まあまあなデカさがあるのにも関わらず、フロアはオーディエンスで埋め尽くされていた。
目まぐるしく変わるステージ上の照明がウザい。
どんな演出だよ?
そうツッコみたくなるほどだけど、観客たちは結構ノリがいい。
「へぇ、まあまあ人気じゃん」
呟く俺の声はステージで演奏されてる音楽と、歓声に潰される。
俺は真っ直ぐにドリンクカウンターへ向かった。そこに見知った顔を見つけたからだ。
「おっつー、ユキー」
「あ!眞樹さんだ!久しぶりじゃないっすか!?今何してんすかー!?」
カウンターの中から人懐っこい笑顔を浮かべて身を乗り出してきたのは、このライヴハウスのスタッフである柴田有紀。
自身でバンドもやりながらここでバイトしてる好青年。ホントは「ゆうき」と読むのをユキって呼ぶのは、ユキがバンドでの呼び名だから。
「ビール二つ。今就活してんのよ俺ー」
「就活っすか?エ?眞樹さん音楽辞めちゃうの!?」
慌てた手つきで缶ビールを二つ、カウンターに置いたユキは、目を丸くした。



