「別に、何も考えてねぇし。だいたいアンタに関係ねぇだろ」
俺の考えてることって何だよ、テメェに何が解るんだ?
そう言いたかったけど、そんなこと言ったらあれこれと腹の内を探られそうだからやめた。
「ほらその顔。あんたなんかに何が解る?って顔してる」
「……っ」
図星をさされた。
ムカついてとっさに足が出た。左足がすぐ前を歩く橘の脹ら脛に当たる。
「いってぇ!!」
躓いたみたいによろけた橘が、驚いて立ち止まりまた振り向く。
「いきなり何すんのさ、あっぶないなぁ」
「テメェが余計なことばっか喋るからだ、クソヤロー」
「わ、汚い言葉!お前ボーカルやる奴がそんな言葉使っちゃ駄目だぁっての。ステージ上で無意識に出るんだからそういうの」
蹴られたことに腹を立てるでもなく、橘は相変わらずな口調だ。
なんなんだホントにこいつ。マジで腹が立つ。
「ステージなんか二度と上がんねぇ」
吐き捨てるように放った言葉は、やっぱり俺の胸に突き刺さる。
自虐的だ。
自分で自分を笑いたくなって、微かに唇を歪めた。



