VOICE【re:venge】






苛々していた。

焦りと不安が幾度となく胸に押し寄せて、ざわざわと落ち着かない。

黒瀬クン今日どうしたのー?と怪訝な顔をする店長にも生返事ばかりだ。

電話が来ない。

一週間毎日掛かってきていた電話がぱったりと止んで5日。

良かったじゃねえか、どうせバンドやる気なんてなかったんだ。ウザい着信がなくなって好都合。

そう思う傍らで、何故か見捨てられた気分。


「なんで電話ねぇんだよ」


小さく吐き出した声がかなり情けないことに動揺する。

もう諦めたのか?
あんなに毎日誘ってきていたのに?

バイト中、ずっとそのことだけが頭の中をぐるぐると巡って、ろくに仕事も出来なかった。しまいには渋面の店長に、お前は今日はもうアガれ、とまで言われる始末。
言い訳も出来ないままで、タイムカードを押して着替えを済ませていた。


「畜生、なんでこんな動揺しなきゃなんねぇんだ」


店の裏口を足で蹴りながら閉め、狭い路地裏へ出た。
いつもより早い時間帯。まだ日付を跨いでいないからか、裏道でも人通りが多い。
それを眺めながら深い溜め息が零れ落ちた。

その時。


「あーつっしクン」