私たちを悪戯っぽい顔で見ると

「どうやら秋仁は柊子を帰したくないみたいだから、一人で帰るわ」

ニヤニヤ笑う。

「・・・そうしてくれ」

半ば諦めたような顔で答える。

「じゃ、柊子ごゆっくり~」

えっ・・・ええ?

いいの?

玄関まで見送りに行くと、

「今日は帰す予定?」

秋仁さんを見ながら笑う。

「・・・いや・・・」

は!?

着替えとか何にもないけど・・・。

「あんまりいじめないでよ?」

「いじめねーよ」

じゃあね~と笑いながら帰っていった。


パタン。

玄関のドアが閉まると

「柊子」

ぐいっと腕をつかまれ、抱きしめられた。

「しゅ、秋仁さん?」

「ごめんな」

え?

「な、なに?」

頭の上で優しい声がする。

「気がついてやれなくて。・・・怖かったろ?」

秋仁さんの気遣ってくれる気持ちが、心の中に入ってきて・・・瞳が熱くなる。