「しかし・・・こんなに買ってどうすんの?・・冷蔵庫に入りきらねーぞ?」

「う・・・ごめん」

呆れながら一生懸命冷蔵庫に食材を押し込んでる。

「う〜ん・・・こうか?いや、こっちか」

何回か出したり入れたりを繰り替えしながら、

「よし!」

なんとか材料を入れきった。


冷蔵庫のドアを閉めると、矢崎さんと向かい合わせになる。

「・・・とりあえず、何か食べた?」

「へ?」

思っていたことと違う矢崎さんの言葉に面食らう。

「へ?じゃ無くて、昼飯なんか食べたかって聞いたんだけど」

「ううん、まだ」

「俺もまだだから、何か作って食べるか。せっかく買ってきてくれたんだし」

「あ、うん」

私の返事を確認すると、また冷蔵庫を開けて。


「・・・何作るつもりだった?」

何を取り出していいのかわからないようだ。

「え・・・パスタと鍋・・・」

「・・・奇妙な組み合わせだな・・・しかもこの真夏に、鍋?」

う・・・そこは突っ込まないで欲しかった。

「味が確かなのが、それしか出来なくて・・・」

「・・・プッ」

「あ!笑った」

「笑ってねーよ?・・・フッ」

「笑ってるじゃん・・・ひどい」

「いや、酷いのは柊子だって・・・この肉しゃぶしゃぶ用だけど?」

ニヤニヤしながら取り出したお肉。

「え?・・・・そ、それは冷しゃぶ用だよ!野菜を巻いてゴマダレで食べるの!」

「ふーん。でも、ゴマダレないよ?」

「え?」

買うの忘れた?

「で?パスタは何パスタ?」

「・・・ミートソース」

「・・・ひき肉無いけどな」

「えぇ!?」

普通、肉忘れる!?

笑いを堪えながら

「この食材・・・何やるにも何か足りねーよ?」

ニヤニヤしながら冷蔵庫を覗いてる。

「・・・・」

間抜けすぎて何も言い返せないよ。

「・・・ぷぷっ」

そんな私を見ながら笑いを必死で堪えてる。

ひ〜ん。

私は今にも泣きそう。