「メグちゃん、なのか?」

香山君は、目を大きく見開いていた。

「はい。身代わりですけど」

「え? 篠原なのか?」

「はい。これが私の答えです。付き合ってくれますよね?」

「そりゃあまあ、いいけど…」

「嬉しい!」

私は香山君の腕を持って、歩きだした。

「急がないと、電車が来ちゃいますよ」

「おお。それにしてもおまえ、そこまでやるとは…」

「『おまえ』じゃなくて、メグちゃんって呼んでください」

「本当にいいのか?」

「裕樹先輩が言った条件ですから」

「そうだよな。じゃあ、裕樹って呼んでくれ。俺もメグと呼ぶ。カレカノなんだから」

「はーい」