貴公子と偽りの恋

少し待つと、教室から一人の女の子が出て来た。

背は私より5センチほど高く、髪は少し茶色でショート。目がパッチリとした可愛らしい女の子だ。

でも、機嫌が悪いのか、少し怒ったような表情をしている。

「あ、あの、あなたが竹中恵さん?」

「そうですよ。先輩、お一人なんですか?」

「ええ、そうよ」

「珍しいですね?」

珍しい? この子は何を言ってるのかしら?

「どっちでもいいんですけど、先輩は遼のファンですか? それとも裕樹先輩のファンですか?」

何なの、いったい。遼って、誰だっけ?
でも聞かれたんだから、答えないとね。

「香山君よ」

ああ、恥ずかしい。