貴公子と偽りの恋

「条件?」

「うん」

私は香山君から出された条件の事を、お母さんに話した。

お母さんは私が予想した通り、目を大きく開いて驚いていた。

「まあ、呆れた。そんな条件を出すなんて、ずいぶん酷い人ね?」

「………」

「そんな条件、飲んじゃダメよ」

「やっぱり、そうだよね?」

明日、香山君に断ろう。もうそれで、香山君とは話す事も出来なくなるんだ…

一度止まった涙が、再びジワッとこぼれ出した。

「と言いたいところだけどね」

「え?」

私は思わず顔を上げてお母さんを見た。お母さんは、優しく微笑んでいた。

「優子の顔を見てたら、そうは言えないわ」