「おまえ、スッピンで良かったな?」

篠原優子は『ん?』という顔をした。

「アイシャドウを塗ったり、アイラインを引いた女の泣き顔は、まあ見られたものじゃないぜ」

俺がそう説明すると、篠原優子は少し間を開けて『フッ』と笑った。

その瞬間、俺の心臓がドキンと跳ねた。

な、何だ? こいつ、俺に何かしたのか?

今はボーッとしている篠原優子を見ていて、俺はある事に気付いた。

「似てる…」

「え?」

眼鏡を外した篠原優子は、俺を振った竹中恵に似ていた。

さっき、俺の胸がドキンとしたのは、それが原因だったに違いない。

俺はそう確信し、ある事を思い付いた。

「なあ。俺の条件を飲めば、付き合ってやってもいいぞ」