紅いあんず飴がズラリと並んでいる。

「どれにしようかなあ」

なるべく大きくて、綺麗に丸いあんずを選びたくて迷っていたら…

「どれも大差ねえだろ?」

と紳一から言われた。

「でも…」

「これでいいだろ?」

紳一がその中のひとつをひょいと摘み、私に差し出した。

一度摘んだものを戻すわけにも行かず、受け取りながら財布を出そうと、バッグに手を入れてゴソゴソしてたら、紳一がさっさとおじさんにお金を渡していた。

「いいの?」

「ああ。バイト代が入って、俺いまリッチだから」

「あれ? 紳一のは買わないの?」

「俺はいい。それ甘過ぎて…」

確か去年までは、一緒に舐めてたのになあ。