貴公子と偽りの恋

「なんか、普通だなあ…」

おかずを詰め終えた二つのお弁当箱を見て、思わず私はそう呟いた。

「普通でいいのよ。最初から気張ると、後が続かないわよ。凝ったお弁当を作るのは、例えば彼の誕生日とか、特別な日にするの。その方が効果的でしょ?」

「なるほど…」

「香山君の誕生日も知らないでしょ?」

「知りません…」

「今日じゃなければいいわね?」

「そんなあ、脅かさないでよ…」

「でも、真面目な話、もっと香山君の事を知らないとダメよ?」

「うん……」

私はお母さんに言われるまでもなく、もっと香山君の事を知りたいと思う。

でも、香山君は私になんてまるで興味がないと思う。そのギャップが問題なのよね…