貴公子と偽りの恋

肝心のお弁当は、いつも私がお母さんに作ってもらっているのと、大して代わり映えしなかった。わざわざ本を買った意味がなかったような…

香山君はお魚が嫌いかもしれないので、お魚類は使わずにお肉主体。

「もし香山君が嫌いな食材があったら、優子のとトレードするといいんじゃない?」

などと言って、お母さんはウフッと笑った。

私もお互いにお箸でおかずをやり取りするシーンを想像したら、つい頬が緩んでしまった。

『優子…。俺、コレ苦手なんだよなあ』

『あ、ごめんなさい。知らなかったの。じゃあコレは?』

『ああ、ソレは好きだよ』

『じゃあ私のを、あげるね』

『おまえのがなくなっちゃうぞ』

『ううん、いいの。お口に入れてあげるから、あ〜んして?』

なーんてね。