貴公子と偽りの恋

「香山君が自分で作ったらしいの」

「あらま、どうして?」

「彼のお母さんって、料理を全然しない人なんだって。だから私が作ってあげるって、言っちゃったの」

「優子、大変よ」

「え? 何が?」

お母さんが急に真剣な顔になって私を見た。

「これからは、お料理の勉強を頑張らなくちゃ」

「どうして?」

「香山君はたぶん、お料理が上手な女の子に弱いはずよ」

「そうかなあ」

「たぶん間違いないわね。明日から特訓よ。30分、いえ1時間早く起きなさい?」

「ひぇ〜、1時間も?」

「そうよ。お弁当作るんでしょ」

「うん、私がんばる」