「ちょうどモデルも休業してて時間あるんだ」





「………マジ?」





「マジマジ。ロックのことはわかんないからいろいろ教えてよ」





三人は顔を見合わせる。





「エルさん、カエデさん。リンナさんはボーカルにぴったりの人材ですよ」





「エル、コイツ信用できんの? 急に辞めるとか言い出したらどうすんの?」





エルはワタシをじっと見つめる。





「マジなんだよね? ウチらとバンドやってくれる?」





「マジだよ。バンドに入ってあげる。ワタシが、ボーカルになる」





母が聞くなと言ったロックを歌うことで母の気持ちが理解できるかもしれない。





サクリファイスのボーカルだった頃の母の気持ちが。