「そういうことなら貸してやってもいいぞ」





キンモクセイの香りが立ち込めるスタジオの休憩スペースでオーナーはレフティーのギターを抱えたアタシを見ていた。





「弾いてみろよ」





渡されたピックでアタシは弦を揺らす。





乾いた音が響く。





「嫁が使ってたテレキャスだから少しクセがあるぞ」





「エル? どうだ?」





「弾けなくはないけど………」





「けど?」