見上げると白い月が笑顔で輝いている。





海からの夜風が心地よくワタシ達の隙間を埋めてくれる。





こんな時に歌いたくなる。





歩くリズムに合わせて。





『Fly Me to the Moon』





だけど英語を間違えたらカエデちゃんに指摘されそうだから鼻唄で。





「あー、それなんだっけ? 聞いたことあるよ」





「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン。私を月に連れてって。ジャズのスタンダードだよ」





エルにそう教えるカエデちゃんはやっぱり知っていた。