「もしもし?」





電話をかけてきたのはエルで、





『今からタケルのところへ行くから一緒に来て』





と、用件と場所だけ伝えてワタシの答えは聞かずに切れた。





「………ごめん。ちょっと行ってくる」





まだ食事が途中のまま、ワタシは立ち上がる。





「遅くならないようにね」





不自然なくらい、いつものように母は言う。





「―――お母さんは、何かを犠牲にしてワタシを産んだの?」





訊いてみても答えを聞くのが怖くて、返事を聞く前にワタシは部屋を出た。