先生との恋☆Second・Story☆完結☆




ゆっくりと、詰め寄るように高橋に質問される。


う…。


返答に困る私は、高橋と視線を合わせることなんてできずに、聖くんへと。


聖くんは高橋に怒られないためににっこりと笑ったまま無言。喋る気もないようだ。

丸投げされた…!


病気になってなかったら大学行ってたかなとか思ったらちょっと寂しくなってしまった、何て言えない。


ただでさえ、手術の話はあたしと高橋の間はあまりしないんだから。


体調のことを気遣ってくれることは当たり前のようにあるけれど、手術前後…

特に傷のことに関しては禁句とでも言うようにお互いが敢えて話題にしない。

自虐的になってしまっても、それはあたしの心の中でつぶやくだけで。

実際に高橋に口に出して言うことはない。

あたしも手術後のあんな態度のことだってあるし、高橋もあたしに気遣ってか話題にしてこない。

だからこそ、”手術をしなかったら”

”こんな病気にならなかったら”


なんて”もしも”の話題もしない。



”もしも”なんて存在しなくて。


あたしが心臓病になった。高橋が担当で手術をした。


残ったのは制限が少なくなる代償に胸に刻まれた傷。それだけ。

だから、高橋には言えない。言わない。


「検査ばっかりが嫌って愚痴ってたの」


こういうときばかり回転が速くなる自分の頭がいやになる。