そう言いながら元々自分が飲むために買っていたんだろう蓋を開けて聖くんはそれを口につけた。
う…。高橋の言うことを守ってるっていうか!ただ、自分の体の為だし!勘違いされるのは困る。
「……別に。あたし、飲んでも良いんだよ?それで検査結果悪くなって入院したら、伸びた分の入院費聖くんが払ってくれる?」
にっこりわざとらしいくらいに笑顔を貼り付けながら言えば、固まった聖くん。
「それにあたし言うからね?高橋に聖くんに甘ーいジュース飲まされましたーって」
「……ごめん。もうしません」
勝った。
「それに高橋に言われたからじゃなくて元々ジュース飲まないだけだから!」
高橋の言うことを聞いてるんじゃなくて自分の為に飲まないんだから。
そこを間違えないでよね。
「入院費は別に払ってあげても構わないんだけど、秋に嫌われるのはねー……」
「え、そっち!?」
さらーっと当たり前のように言った聖くんに今度はあたしが驚く番。
「お金は平気なんだ」
普通お金の方でしょ。てっきりあたしもそっちが嫌かと…。
「まぁ、余りまくってるから」
笑顔で……自慢気に言う聖くんがなんだか憎たらしくなってきた。
ーーーー日陰と言っても暑い中庭。
開けっ放しだったペットボトルの口に口付けて中身を含む。
口内に、水なんだけど薄らピーチの味が広がる。甘い。
少しだけ飲んで止めた。



