「暇じゃないよ!結構忙しいんだから……」
そうだよね。
“聖くん”が暇人みたいなバカなことやっただけで他の人はちゃんと仕事してるだろうしね。
聖くん基準に一括りで考えると他の人に失礼か……。
「良かった。聖くんが飲んだ後とかだったら嫌だし」
「それはそれで傷付くんだけど……」
拗ねた顔をする聖くんに笑って、ペットボトルのフタを開ける。
それに「えっ」と驚いたように聖くんが声を上げた。
「飲んでくれるの?」
「は…?飲ませる為に持ってきてくれたんじゃないの?」
「や、そうだけど」
まさか本当に飲むとは……と続いた言葉に苦笑。
なにそれ。
「こっち飲む?」
飲もう、と口に付けようとしたら差し出されたもう一つのペットボトル。
いかにも甘ったるそうなジュース。
元々そこまでジュース大好きってわけじゃないから、いいかな。
差し出す聖くんに首を振る。
「いいこっちで。あたしの事を気にして水を持ってきてくれた気持ちは分かるから」
「何だかんだ言って、ちゃんと秋の言うこと守ってんだねー」



