静かに。

名前を呼ばれて、見上げられて見返せば言われる。


「俺に何か言うことがない?」


「へ?」


なんだと眉を寄せる。秋にいう事?

「別に、何も……」

と言いかけて。

見つけた1つの心当たり。


心ちゃんにばっと視線を移せば、困ったように肩を上げてはぁと息を吐きだした。


「あぁ……」

分かった。秋がふてくされてる理由。

「なんで俺より先に一緒に店行ってんの」

「いやーぁ。ね」


ごめん。それしか言えない。