「聖の彼女?」
「うん」
「さぁ……会ったことないし、聞いたこともないかも」
「そっかぁ」
確かに。あたしと一緒に住んでた時も彼女についてのことは何も言ってくれなかったもんね。
「そもそも彼女いるの?」
「え?」
聞き返せば、少し言いづらそうに視線を泳がせる高橋。
「ほら…なんていうか、特定の彼女っていう言い方の方が合ってるのかな」
「あぁ……」
「聖、自分のことあんま話さないからなぁ。そっち方面は謎なんだよね」
確かに。聞いても笑ってはぐらかされるし、流されるし。
あたしもあまり深く追求しなかったから気付かなかったけど。高橋もそんなに聖くんのことを干渉しそうにないし…。
遊び歩いてるって感じがするから、
高橋の言い方の方があってるのかもしれない。
思い出す玄関での出来事。
「さっきね、聖くんの家を出るときに、」
「うん」
「女の人が来てたの」
「女の人?」



