「ん……、」


ふと。意識が戻ってきて、ゆっくりと目を開けると乾いた涙が瞼に張り付いていたからか開けにくかった。


手で瞼を擦って体を起こせば、室内は真っ暗で。カーテンの隙間から届く光はまだまだ全然明るくて、寝てからそんなに時間が経っていないことが分かった。


良く寝たなぁ。と思う。


すっきとした快眠が得られたのは本当に久しぶりで。


隣にいた高橋は、いなくて。ゆっくりとベットを降りてリビングへ行く。


「あ、心ちゃん起きた?」


リビングに入るとすぐ、2人はソファーに座ってテレビを見ていて。ぐったりとソファーに体を預けた高橋と、


いつものようにテレビを見ながらもスマホ…多分横にしてるからゲームをしているのだろう。


聖くんがあたしに気付いて声をかけてくれる。


うん、と言ってソファーに近づけば、「よし、じゃぁ俺帰るわ」と聖くんが立ち上がる。


「え、もう帰るの?」

座りな、と今まで自分が座っていた場所にあたしを座らせてくれて、

代わりにあたし達の前に立った聖くんを見上げながら聞く。


すると、うんと。あっさりと帰ろうとする聖くんに首を傾げる。


いつもならいつまでも居座ろうとするのに。