あんた誰!?

「……誰」


ヤバイ、少し身の危険を感じてきた。 あたし一応女の子だし。

密室で1人だし。


このまま確実に家に上がり込んでくるし。

力じゃ確実に勝てないだろうし。

恐怖が……寒気がする。

「あれ、聞いてないの?ってか俺の事知らない?」

ナンパなみの軽さでニコニコと笑いながら


廊下へと上がってこっちへと歩きだした途端。

その人から視線を外さないようにしながら自然に

逃げてることを悟られないように後退してリビングに踏み込む。


マジで誰、あんた!

……背を向けたらダメだ。


その瞬間殺られてしまう。 チラッと見えたリビングの机の上には、昨日帰宅してから置きっぱなしになってたあたしの携帯。


慌ててそれを手に取った時、

とうとうリビングに入ってきた不審者。


「あれ……?」


と言いながら室内を見渡して視線を泳がせる姿を見て、今更ながら心臓がバクバクしだした。


発作じゃなくて、怖くなって。


この人絶対不審者だ……。


ここのマンションのエントランスの掲示板に、「不審者多発注意」って貼り紙があったのを思い出す。


何で。

何で不審者が高橋ん家の鍵を開けれたのか分かんないけど。


ピッキング…?どうしてよりにもよってここなの…!