掠れた声で返答してきた秋は、

さっきと同じようにしんどそうで。

良く見れば一人にしては布団の膨らみが大きいことに気付いた。


心ちゃんはそこか。

「……もしかしてお楽しみ中だった?」


まずいことをしたかな、と思った。と同時にノブを持ったままだった左手に力を入れた。


や、別にいいんだけど、

仲直りしたなら全然いいんだけど、


遭遇するのはあまりにも生々しすぎると言うか―――


「ばか。んなわけないだろ…こっちは高熱なんだぞ…」

しんどそうな秋の声に鋭さが出てきた。


「ごめん。ちょっと動けないからこっち来て」


うん、だから秋は動けない分心ちゃんが――、

とか思いつつも

大人しく秋の方へ寄って行けば、秋がそういう理由が分かった。

出ていく際に俺が投げて渡した冷却シートは頼んだ通り秋の額に貼られてあって。

秋が手を出してわずかに捲った布団から出てきたのは、


秋にしがみついたまますやすやと眠る心ちゃんで。

「あ…なるほど」

寝てるのね。


納得した俺に

同じように心ちゃんに視線を落としていた秋が見上げてくる。

「落ちるの早くてびっくりした」

秋が言うには自分が寝ればごそごそと這い出すだろうと思っていたらしい。