ま、いっか。


別に。帰っちゃえ。


「暑いー…」

うなだれれば隣を課外授業か部活なのか

真っ白なシャツを着た高校生が自転車で通り抜けて行った。

若いなぁ。

俺はもう、この暑い中自転車を漕ぐなんてできない。








―――――――――…

秋の家へ戻ってみれば

しん、と静まり返っていて。


てっきり話し声がしているだろうと思っていたのにそれすらない。

もしや帰ったか…?と心ちゃん逃避説が頭を過ったが、サンダルがあるのでそれはないだろう。


静かすぎるのが逆に怖いが、

確かめる以外に選択肢はない。


ガチャ―――、


「…あきー…?」

まるで第一発見者が死体を見つけるみたいな状況だな、となぜか思った。

ゆっくりとノブをひねって押し開けながら名前を呼べば、


ごそごそっと布団の擦れる音がする。


「聖…?帰ってきた?」