会いたくなかったのになぁと思いっきり顔に出せば、
向こうは嬉しそうににっこりと仕事スマイルとも言える笑みを向けてくる。
一瞬降りた視線はあたしの手元を見ていて。
「検査結果聞きにきたの?」
「…はい。ありがとうございました」
一応検査してくれたからね。
心はそんなに籠っていないけれど。
お礼を言えばふふふっと笑われる。
「こちらこそお礼を言わなきゃ。おかげでしっかりと仕事に励めそうだわ」
「…お疲れ様です」
どうぞしっかり励んでください。
相変わらずの含みのある言い方。
勝気だな。きっとあたしが病院に来ない限り高橋と接点がなくなると思っているからこそできるその余裕。
急に、へし折りたくなった。もちろん、付き合ってるなんて公言はできないけれど。
「あの、」
「何?」
意を決して須藤先生を見れば、相変わらずの笑顔で。
「……高橋は須藤先生を好きになりませんよ」
しっかりと。
目を逸らさずに言ってやった。
瞬間。笑顔が固まり目を細められる。
「医者として…仕事仲間として好きではあるかもしれませんけど、
恋愛対象としてはありえないと思いますから。確かに同じ職場で近いでしょうけれど、きっと距離より気持ちです」
失礼します。