やっぱり話せない―――、 無理だよ今は。 逃げることしかできない。 「っ!!!」 「うわっ、」 ガチャリ、入った時とは真逆。 思いっきり掴んで押したドアと同時に飛び出した体は、 無いはずの”壁”にぶつかった。 出ようと思ったのに。力に負けてあたしは2、3歩後退する。 「~~~~っ、」 鼻痛い。 「ってえ」 咄嗟に手で押さえたのと 向こうが声を発したのは同時だった。 「飛び出してくんなよ~~!!」 「…っ、そっち、こそ」 何でこのタイミングで。