誤魔化すようにへらっと笑みを浮かべる。

それはもう、あたしにバレたことを肯定…むしろ開き直ってるような様子で。


「変に誤解されてあたし刺されるってことはないよね?」

聖くん、そこらへん緩そうだから。

変に誤解されてあたしと聖くんが付き合ってるなんて思われて恨まれるのは困る。

せっかく生きてるのに、私情のもつれで殺されるのもケガするのも困る。

本気で身の危険を感じて聞けば、はぁと呆れた顔をする。


「俺がどんな子と付き合ってると思ってんの!?」


「…彼女いるの?」


「…や、彼女ではないけど」


彼女じゃないんだ。

彼女じゃないのにお泊りに行ってるのね。

それも聖くんが思ってないだけで向こうは彼女って思ってるかもしれないのに。


ふーん。

「そんな目で見ないで。俺意外と誠実だから」


ね、と言われるけど、信じられない。


でも、今はそんなことどうでもよくて。


「……とにかく、しばらく泊めて下さい」


「……でもさぁ、ほら、ハタチなったばっかの子とオジサン一緒に泊まっちゃうのはどうかと、ね」

「何も無いですけど」

「俺もそんな気ないよ!?だけど秋、が――」


秋。

……高橋。


名前を聞いて、作っていた表情が固まってしまう。無、になってしまう。


それに気付いたのか、


ハッと口を結ぶ聖君。


「……秋と、何かあった、んだよね?」