「―――で。どうしてここに来ちゃったかなぁ?」

クーラーが直接当たるのが嫌で当たらない端っこに体操座りで固まれば、ガンガンに当たる場所に座っている聖君に言われる。


「仕方ないじゃん。他に行くとこ思いつかなかったんだもん」


目の前の――聖くんは困った顔をして頭を抱える。


あの後、これからどうするかを必死に考えたあたしは、聖くんにメールした。

そして、病院の近くのカフェで待つこと数時間。

店員さんにはいつまでいるのだろうか?と言う視線が痛かったけれど気付かないフリをして。


仕事終わりにやってきた聖くんを捕まえてやってきたのは、ここ。


聖くんの自宅。


「まさかこんなに早く来るなんて思ってなかったんですけどー」



「あたしだって来るつもりなかった」

「おい」


「だってっ…まさかこんなに早くこうなるなんて思って…っ」


ダメだ。

聖君に説明しようと思うと思い出して涙が出てくる。


これじゃきっと最後まできちんとしゃべることができない。


うぅっと頭を伏せれば、あーあーと聖君の声が聞こえる。


退院する前、聖君にしたお願い。


もし何かあったら家に匿わせて。