先生との恋☆Second・Story☆完結☆




小さな四角く区切られた密室の中。


こんな時に限って誰もいない。


乗り込むのもあたしと高橋だけで、人が多くはないものの行き交う場所から中へ一歩入れば、静か過ぎてエレベーターの機会音もしっかりと聞こえる。

―――前にもあったっけ。

こういうの。前も、こんな気持ちで乗っていたような気がする。


高橋はあたしのことを考えてくれてるんだろうけれど、あたしの気持ちのことは分かってくれてなくて。


あたしはそんな高橋に落胆や苛立ちの感情を持って。

あの頃も、高橋は分からなかったけれど、結局今、も。

今も何を考えてこんなことをしているのか。

どうして昨日あんなことを言いだしたのか。全く理解出来ない。


……あれから距離は少しは近くなって。

高橋のことをいろいろ知って。


高橋のこと、少しは理解してるつもりでいたのに。

全く変わってない。

結局分かんないんだよね。そう思うと、何だかおかしくなってきて、ふっと自嘲の笑みが零れた。


「……荷物。返して貰えますか」

ガタン、とエレベーターの音が聞こえる静寂の中、背中を向けている高橋に背後から声をかける。


「どうやって帰るつもりですか?」

前を向いたままあたしに質問してくる高橋。


荷物を返してくれるような気配は無い。