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「入院お疲れ様でした」
「…お世話になりました」
ペコッと頭を下げれば、ニッコリ笑ってくれる看護師さん。
ナースステーションの中にいる看護師さん達も気付いて、「お疲れ様」って言ってくれる。
「……清水先生は…忙しそうですね」
退院するから、一応挨拶しようと思ったのに。
今日は朝から見かけてない。
「今日は病院に来てないの」
「そう、ですか」
申し訳なさそうに言われて、そっか。と納得。
良いや。
どうせまた検査の結果を詳しく聞く時にここに来るし。
その時にでもお話すれば。
「あ…じゃあ、一応お世話になりましたって伝えて貰っても良いですか?」
そう頼めば、伝えとくね、と言われた。
よし。帰るか。
もう一度、頭を下げて、踵を返しエレベーターの方へ向かおうとすると、
「―――岡本さん」
高橋が、ぎこちなく笑いながら立っていた。
昨日以来、だから。
少し気まずくなるのも、当然、か。
結局、これからどうなるのかさえちゃんと話合えてない。
できれば会わずに退院できたらって思ってたんだけど。
あれだけ泣いてしまったからもう遅いんだけど、泣きはらした目も見せたくなくて。
「……お世話になりました」
看護師さんに挨拶した通り、ううん、声はそれよりもずっと低く素っ気なくて。
高橋の顔も見ずに名札の辺りに視線をやって頭を下げる。



