「あの時嘘でそう言ってくれたんでしょ?あたし、ドン底だったから」
このままだと変な気起こしそうって思われてたのかも。
実際、死にたいって思ってたし。
「……もう、罪悪感なんて感じなくていいし、高橋が手術したせいで、なんてもう責めたりしないから」
だから、
「それは、違うよ」
「……もういいから。出てって……」
掴まれたままの両手で高橋を押す。
「心……、」
「出てって。コレも離して。もう引っ掻いたりしないから」
まだ居座ろうとする高橋に手を引っ込めれば、手を離してくれた。
そのまま高橋に背を向けて布団の中に入り込む。
「心、」
「出てって」
「違う、からね?」
「………」
「ごめん……仕事に戻るね」
もう、何を言われても答えない。
しばらくそこにいる気配がしていたけど、声がして、ゆっくりと高橋は部屋を出ていった。
……大学の話をしていたのに。いつの間にか別れ話みたいになってしまった。
や、これ別れ話なのかな。
高橋はそのつもりであたしに話して…。
中途半端な一番最悪な形で途切れてしまって。



