もう暴れてないのに。手を離さないまま、グッと握ったまま、高橋は話す。
「ただ……まだ狭い世界しか知らないだろうから。僕なんじゃないかなって、ね」
高橋の言葉が、重石になって溜まっていく。
狭い世界しか……、就職して、働いてもないし、バイトしてるって言っても、病気になってからは一定の距離引いて閉じこもってたから?
だから、高橋と付き合ったって思ってるの?
高橋は、そんな理由で自分が選ばれたって思ってるの?
……いつから?
そう思ってたの…?
ほんと、意味分かんない。
「……高橋こそ」
声が、震えてしまう。
涙も止まりそうに無いし、俯いていて声が小さいから聞き取りにくいと思う。
それでも高橋は、うん、とちゃんと聞き取ってくれる。
「高橋こそ……素直でかわいい子が、
歳が近くて同業の人の方が良いんじゃないの」
高橋の方が。
あたしなんかより、新しい担当の子だったり須藤先生みたいな人の方が。
「……心?」
顔を覗きこもうとしてくる高橋に腕でガードする。
「高橋こそ……あたしの手術をしたことの罪悪感であの時好きだなんて言ってくれてたんじゃないの?」
「それは違っ、」



