「え?」
「何て申請するの!?病気で手術してお金が無いからお金貸して下さいって頼むの!?」
思わず出た、大きな声。
と、同時に口だけで済まないのが私。
持っていたパンフレットを高橋の胸に投げてしまった。
バン、と私の荒げた声と一緒に聞こえた鈍い音。
膝に落ちて、更にそこから床へと落ちるかと思ったけれど、膝から滑り落ちる前に高橋がそれを掴んだ。
キッ、と睨み付けた私に、高橋は困った顔をする。
「卒業してから返せる?何年かかるの!?この病気にかかったお金だけでも返すのにかなり時間がかかってるの分かってるのに!!高橋みたいに医者で稼げるわけじゃないんだよ、あたしは……」
「心、」
「お願いだからそんなこと簡単に言わないでよ…」
もういいから。
余計なことを言わないでよ。
怒鳴りながらも、びっくりしたように、でも傷ついたような高橋から目を逸らして頭を抱える。
こんなことで高橋に怒鳴りたくなんかないのに。
いつだって冷静に言ってくれる高橋にあたしだって冷静に言い返したいのにどうしても感情的になってしまう。
止められなくなる。
高橋が大人で、自分がまだまだ子供なんだって思い知らされる。



