「勉強ばっかだったんじゃないの?」
医学部って、寝る間も惜しんで勉強勉強!ってずっと受験生みたいな生活をしてるイメージなんだけど…。
「んー…それはそうだけど、その中でも友達と大学生らしいことはしてたよ」
「合コン、とか?」
「違うよ、遊びに行ったり」
「そっか」
大学生、ね……。
会って見たかったな…あたしと同じくらいの年の高橋に。
その頃あたしは小学生くらいだけど。
「……あのさ、」
「ん?」
スッ、とあたしが読んでいたパンフレットの上に手を置いた高橋に首を傾げる。
変わった空気に、高橋をじっと見つめる。
何かを思いつめているように、少し、考えてるように…そして、意を決したように…あたしを見て。
何?
眼鏡の奥の瞳が真剣で、黙って高橋が口を開くのを待つしかできない。
「今からでも、遅くないんだよ」
ぽつり。口を開いたかと思えばそんな言葉が降ってきて。
「……何が?」
「大学」
へ?と、微妙な笑みが零れてしまうけれど、高橋は続ける。



