目を細めてにっこり笑う赤ちゃんの口から見えるのは、まだ歯が生えていない歯茎。
下は見えるけど……上はまだ。なんか、新鮮。
「目元が横田さんにそっくりですね」
「そうでしょ!?旦那は自分に似てるって言い張るんだけどね」
クスクス笑う横田さん。
横田さんがぷにぷに指でほっぺをつつくと、にっこり笑う。
「かわいー……!癒されますね!!」
「……ふふっ、」
「え?」
急に声を上げて笑いはじめた横田さんに首を傾げる。
あたし、何か変なことを言った?
笑っている意味が分からなくてただ横田さんを見つめるあたし。
「ふふっ、ごめんね。同じ事を言うものだから」
あたしの視線に気付いた横田さんが手で口を押さえながら言う。
「同じ事?」
「ええ。高橋先生も以前こうして抱いた時に“癒されますね”って言ってたの」
「高橋も、ですか」
誰でも癒されると思うけど、高橋も同じ事言ってたんだ……とただ思った。
「しかも今の心ちゃんのようにすっごい笑顔で。…言い方まで似てたから思わず…ふふっ」
笑いが止まらない横田さんに、あたしは困ったまま赤ちゃんをあやす。
なんだか恥ずかしくなってきた。
しばらく笑い続けて、ふーっと大きく息を吐きだした横田さん。



