「ありがとね」
赤ちゃんを抱きなおしながら椅子に座った横田さんの前にオレンジジュースを置いて、向かい……では無く斜め向かいに座った。
丸テーブルの4人掛けだから、向かいよりもその方が話やすいと思って。
「ごめんね?いきなり声をかけられてビックリしたでしょ?」
ほんわかした口調、そして笑顔の横田さんに、あたしも思わず少し笑って首を左右に振る。
横田さんの雰囲気に、部屋を出るまでに感じていた須藤先生への、自分の中のよくわからない感情へのイライラなんて言葉にしたら良いのかわからない感情がいつの間にか消えていた。
会って数分しか経っていないのに。
一口ジュースを飲んだところで、横田さんが口を開く。
「実はね……私も数年前、ここに入院してたの」
「……え?」
「心ちゃんと同じ病気で」
あたしと、同じ病気……?
いきなりの告白に、驚く。
普通のお母さんだと思ってた。
何であたしが声をかけられたんだろうって思ってたけど……。
それなら。



