有岡くんはテーブルに腕を置いてその上に頭を預けてあたしのパンフレットを見ながら口を開く。
「大学……来ない?」
「えっ?」
唐突に言われた言葉。パッと横を向けば上目遣いの有岡くんと目が合う。
「来ない?って?」
どういうこと?
「オープンキャンパスあるけど」
「オープンキャンパス?」
オウム返しに呟けば、置かれていた腕がスッと動いてパンフレットの山から小さいハガキサイズの紙を持ってあたしの前に差し出した。
「今度あるんだけど。退院してるだろうし結構日程あるから来てみない?」
実際見た方がどんな感じかは分かるだろうし。
そうオススメしてくれるのを聞きながらハガキを見る。
「オープンキャンパスねぇ……」
そう言えば高校の時、皆オープンキャンパスに行ってたなぁ。
あたしは大学にも専門学校にも行く予定が無かったから行こうって思わなかったけど……
でも。
「……止めとく」
「え?何で?」
ポツリと言えば、有岡くんはキョトンとした顔をする。
「あー…真夏だし、結構外歩かなきゃいけないし、体しんどい?」
「それは、違う。大丈夫だけど……」
体は大丈夫。
多分。
そうじゃなくて……
「これって現役の高校生の子達が来るんでしょ? それに混ざるのは……やだ」
「やだって」



