「うん。美味しい」
まったり。
まさにそんな言葉が似合う。
バタバタと動いていたバイト中にはこうしてゆっくりと一緒に何かを食べる、なんてことはしなかった。
誰かが持ってきてくれた物をつまむ、ことはあったけど、こんな風には無かった。
「なんか考えられねぇなー」
「……何が?」
あたしよりも早く食べ終わった有岡くんは食べ終わったカップに使ったスプーンとフィルムを入れる。
まだ食べ続けているあたしはゼリー掬った状態で止まってハタ、と有岡くんを見た。
続く言葉を待てば、
だってさ、と椅子に背中を預けながら呟く。
「高校の時じゃ考えられなかったし」
「あぁ……」
有岡くんも、このまったりした雰囲気の中で同じようなことを思っていたらしい。
「まさかこんな風に一緒にゼリー食べる日が来るなんてな」
「あたしだってゼリーくらい人と一緒に食べるけど?」
そりゃ、アイス、とかケーキバイキング、とかは無理だったけれどさ。



